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修論発表。次へ。

やっぱりしんどかった帰りのフライトを終えて、成田空港でラーメン花月のげんこつラーメンを食べてほっと一息。そこからバスに乗って羽田空港、岡山へのフライト、空港から大学に直帰してM2二人の修論発表の最後の仕上げ。

次の日、月曜日に発表は無事終った。修論は「努力賞」というけれど、当人たちは必要十分に努力したと思うし、私自身も彼女達に修論をやってのけるという努力をさせられたと思うので満足はしている。

しかし他の研究室の発表を見たりしながら、やはり学生の指導については、難しい・よく分からない部分もあると感じることしきり。修士論文の12分(+質疑応答3分)の発表では、よっぽどのことがない限り発表している学生自身の力量を理解することは難しい。発表で緊張していればなおさらだ。

どこまで指導教官が介入すべきなのか、例えば、ある学生がみっともない論文を提出したり、とても準備ができているとは思えない発表をした時に、それは誰の「責任」なのか?それとは逆に、非常に輝く発表をしている時にそれは誰の「功績」なのか?

同じ研究室から複数の学生が発表しているとすれば、その発表の質を見ていると自ずと研究室の質というものがにじみ出てくる。かといって質がバラバラだとおもっていたらその中にきらりと輝く発表があったりすると、指導に疑問点がついていたのとは逆にその学生の質の高さが際立つということになろう。

そもそもこういう発表会の場で研究室を相互に評価することはすべきことではないのかもしれない。あるいは発表を評価すること自体がいけないことなのかもしれない。本人の力量からして、しっかりと必要十分に努力しているということが窺えればそれでいいのかもしれない。だから「努力賞」と呼ばれるのであろう。

一方で、やはり修論発表の場は、研究室の宣伝の場にもなり得るし、自分の学生指導の実力を教授陣にアピールする場にもなりうる。そう言う風に使っていいのかどうかは分からないが、そう言うスパイスを「にじませる」ことはできるだろう。

ということで、学生指導がきちんとしていることが分かり、かつ残りの部分では学生の個性・実力が分かるような余地を残しておくことが最も良さそうだ。必要十分に学生に努力させ、論文・発表の形が「科学発表」として整ったものにまで持っていかせ、それ以上、残りの部分は学生の実力に依存させる。それに加えて上記のスパイスを振りかけたければ振りかければ良い。

それでは「何が必要十分で、科学発表として整っているのか」ということになるのだろうが、これはもう研究室のスタンダードを設けるしかあるまい。そうなるとやはりそれぞれの研究室の「指導のやり方」に対して、相互批判は御法度であるということになりそうだ。(ところで、それではお互いの「サイエンス」に関する相互批判はいいのか悪いのか、これはまた別の問題であるので今日議論するのはやめることにする。)

・・・というのが結論ということになる。やっぱり良く分からない。

結局、それぞれの先生が、学生が満足できればそれでいいじゃないか。今ふと思ったが、つまりは「学芸会」なんだ。「卒業制作」と同じだ。「長いこと議論して結論がそれかい!!」と言われそうだが、そう考えるのが一番不必要なストレスが少ない。

ーー

話を私の研究室に戻すが、一人はこのまま博士後期課程に行く。努力は人一倍、発表はそれほどうまくないが、底知れぬ情熱とガッツを持っている。彼女にとってはこの修士論文は単なる通過点。通過点としての必要十分な努力をしただろう。通過点としての杭を打つことには成功したと思う。一方で、本人は恐らく目的としていた修論に到達できず、満足できなかっただろうし、もっともっと努力しなければならないことに気付いたろう。従って非常に意味があったとおもう。

もう一人はこの後就職する。修論は彼女にとって学業としての最後の仕事である。就職活動やプライベートなこともあり、本人も努力することを受け入れられる人間ではなかったので研究はなかなかスムーズに進まなかった。正直彼女のために私も(恐らく私がやるべきではない)努力をした。それはやはり学業の最後の締めくくりを華やかに終えてもらいたかったからである。最後には彼女自身しっかりと努力して修士論文を完成できた。発表も本人は非常に満足している。そういう成功体験というのは、きっと残りの人生の大きな糧になると信じたい。

ところで、M2が発表の終わった夜にすき焼きを作って研究室の皆にごちそうしてくれた。私は私のやるべきことをやっていただけな訳で、そういう感謝にむやみに喜んではいけないとは思っている・・・ただ、やっぱりうれしいものはうれしい。

ちょっと書きはじめたらすっかり長くなってしまった。

私はこういう通過点が終ったとき直ちに次の目標のことが気になり始める。私自身が努力して終えなければならない仕事、来年度から始まるあらたな仕事がたくさん待ち受けている。そこに素早く気持ちを持っていかなければならない。当面、私自身が満足のいく仕事をしていく番である。
by hisaom4 | 2012-02-22 07:58 | 日記

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